髄液鼻漏 闘病ブログ まとめ・手術編

最近髄液漏は米倉涼子さんもなったということで話題になっています。脳脊髄液減少症は国の難病指定になったこともあり有名ですが、これは脊髄つまり背中のどこかから、異常に髄液が漏れる病気です。私の場合は頭蓋からの漏れということで、主に鼻から髄液が漏れだす状態で、しかも多くは事故で頭を打った、脳の手術をしたケースなどが多いのですが、私は突発性の髄液鼻漏と診断されています。これは生まれつき、もしくは加齢による副鼻腔や硬膜、篩板などの変化により隙間ができて髄液が漏れ初めたと考えられます。なお脊髄から漏れる場合は漏れる先も背中の中なので無菌状態ですが頭蓋からの場合は、細菌の多い副鼻腔が多く、そのまま細菌性髄膜炎という初回致死率25%の合併症を引き起こす可能性があり、実際に私も発症し意識不明重体まで経験したので、鼻水がでる期間は特に注意がいります。なお脊髄からの漏れの場合は難治性ということで長期にわたり辛い期間が続くことが多いようです。

鼻性髄液漏の診断は、なかなかされず、最初は副鼻腔炎との診断をうけていました。私もここまでくるには、多くの医療機関を周りましたが、それでも認めてもらえず、私自身もアレルギー性鼻汁だと思っていた時期もありましたが、私の場合は成分分析、CT、MRIで確定し篩骨洞天板垂れ下がり部位からの漏れで手術の計画までたちました。なお日本では、医師も患者も、この病気の認知度は低いですが、10万人に3,4人以上は発生(海外サイト情報)していて、海外ではCSF Leakという言葉でそこそこ認知されて、海外Youtubeなどでは多くの症例や手術動画を見ることができるので、日本では恐らく鼻水だと思いこんでいる潜在患者も含めると5000人ほどはいるのかもしれません。

 

その割には、ネット上に情報が少ないので患者の私が経験を元に症状などを説明します。

 

症状

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・下を向くと滴下する水分。数滴から多いときには、水道水のようにツツツーっと垂れ流れることがあります。また全く粘りはなくサラサラです。

・飲み込むと塩辛いというのか甘辛いというのか汗の味ににています

・大量に出ている時は脳脊髄液減少と同じ症状で、起立時頭痛(特に頭頂部)がはげしく、立ち上がってもめまい、立ちくらみがします。ただし時間が経つと治ってきます。

・大量に出ている時は発熱、関節痛、倦怠感、悪寒が激しい。病院で血液検査のCRPを図ると6〜8くらいの炎症状態になります。ただし抗生剤治療をすると症状は緩和しますが、髄液漏は治りません。

・仰向けに寝ると出ないが、横向きに寝るとよくでる。下向き寝は大量にでます。

・労作時や、私の場合は客仕事なのでお客様と会話すると緊張のせいかよくでます。お客様との電話でもでました。

・トイレ時もよくでます。

・上向きに寝転んでいても喉に塩辛いもの、つまり髄液がおりてきます。これが原因で誤嚥性肺炎となり、胸痛を感じることもあります。

(通常若ければ唾液などは咳など嚥下力で気管に入りませんが、髄液は生食に近いからか嚥下でも跳ね返さずそのまま気管に垂れ込むのかもしれません)

 

治療

 

治療は根治手術ですが、私はこれまで5回漏れ→自然に止まる を入院含めて経験しているので、止まったときにしてきた事です。

 

・原則セミファーラー位でのベッド上安静

・なるべく鼻から出さないよう意識

・寝転んでばかりずっといても脳への水分量が増えるので座位の時間も確保

・コーヒーなどカフェイン接種して利尿を促す

・ポカリなどで水分も取りすぎない程度に接種

・労作はなるべくさける

・重量物運搬や、軽い運動もさける

・長風呂、トイレでの力み禁止

・咳をする際は、口を開けてからする

・あまり鼻はすすらないほうが良さそう。(吸い出す経路が広がる可能性あり)

・イソバイドシロップなどの脳圧を下げる薬を処方してもらって服用

髄膜炎予防に抗生剤もなるべく処方してもらう

・肺炎球菌による細菌性髄膜炎(過去にこれで意識不明重体になりました)予防のため、高齢者向けの肺炎球菌ワクチン ニューモバックス を医師にお願いして自費接種(約8000円)

 

 

私の場合、これらが自宅でできず何回かは入院しています。ただし私の場合一か月以上続いたのは二回で一回目は髄膜炎罹患、二回目は手術で根治しました。もし自然に止まってもどんどん加齢しているので時間の問題かもしれないと思いました。

 

手術

 

副鼻腔の瘻孔の閉鎖術となります。髄液鼻漏の後鼻漏で誤嚥性肺炎を起こしている場合は抗生剤で炎症がある程度治まり次第実施します。手術は全身麻酔で鼻からの内視鏡手術(ESS)で、本人からすると寝ていて全く記憶がない内に終わります。普通の夢を見てたら、なんとなく目覚めて手術室で、あ、こっちが現実だったと気づくだけで、手術自体は耳鼻科医、脳外科医で実施で六時間かかりましたが、私の場合瘻孔は約1cmと大きく、お腹の脂肪や、鼻中隔粘膜、有茎粘膜など、筋膜以外で何層にもパッチしたので時間がかかったようです。

患者が大変なのは術後です。痛みこそ大きくはないですが、鼻の上に1トンの岩を置かれているような鈍痛が二、三日続き、ロキソニンなどを貰うとよくなります。勿論鼻にガーゼも詰めるので味も分かりにくく口呼吸なので唇も乾燥します。私の場合術後すぐは何故か右目(手術対象側)だけ眩しく、涙が少しでましたが、次第に治りました。一番きついのは瘻孔が大きい場合、腰椎ドレナージ=スパイナルドレナージをするので、麻酔中に腰からチューブを入れられ気がつくとささったままとなっていて、ベッド上から起き上がれず、これが苦痛すぎました。食事も排泄も洗髪も全て寝転がったままの生活は、赤ちゃん以来で、まるで縛られ拷問されているかのような生活で、かなり精神的にやられます。また術後すぐは全く気力もないので、スマホを触る気にもなれず、考え事すらする気になれず、ただひたすら眠る、目を閉じる以外は何もできなくなります。ちなみに麻酔明け後はウトウトするなんてどこかのブログでみましたが、私の場合は麻酔で六時間寝たからか、その後逆で、なかなか寝れず、辛い時間が長く感じました。また腰椎ドレナージは痛みはないものの、違和感や、よくチューブ以外からの漏れもあり、都度縫い直されその度にする局部麻酔が痛いです。また長期になってくると両足もだるくなったり色々辛かったです。ちなみに私の場合クランプ=ドレナージを一時的に止める操作 をして体位変化をすると刺入部チューブ外から髄液がもれ、一時大量にもれて服がびしょ濡れになった際は頭痛も酷かったですが、寝転がって安静にすれば落ち着きました。

この状態は私の場合約一週間続き、一週間後に鼻のガーゼもスパイナルドレナージも抜きました。鼻ガーゼは粘膜と癒着していないタイプだからか、痛みはほとんどなくスルスル、ズルズル、グチャグチャと抜けました。痛いのはスパイナルドレナージです。抜いた後にまた縫うので局部麻酔の痛みはやはりいつも通り痛いです。それより激痛とまではいきませんがチューブを抜く際に腰椎の中の馬尾かなにかに触れる瞬間があり、そこは麻酔の範囲外なのか一瞬痛っと感じました。激痛とまではいいませんが非常に気持ち悪かったです。その後穴を塞ぐため縫われますが麻酔がよくきき、何をしているかよくわからないうちに終わります。抜糸はその一週間後にしました。麻酔はなくチクチク少し痛みはありますが、麻酔の注射に比べれば、紐がとれていき痒かったのもあって、痛気持ち良いくらいです。ちなみに私が痛いと言っている麻酔の注射は、腰の刺入部にしますが、ルンバールをした事があれば分かると思いますが、その際と同じ局部麻酔の注射です。そこまで深く刺すのかいと、ツッコミたくなるくらい針をすすめられるので、私はこの腰への局部麻酔注射が嫌いで、よくイタタタと声を上げていました。

 

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※腰椎ドレナージのチューブは極細い

 

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※腰椎ドレナージ抜糸後(右上がカテーテル痕?!)

 

そんなこんなで手術自体は思ったより術後痛みもなく、多少臭覚、味覚が落ちた気もしますが、これまで長く悩んでいた髄液漏は止まり、止まったことで、完治出来なかった誤嚥性肺炎も完治するので、お悩みの方がいればあまり考えずサクッと受けた方が良いと思います。ただし私は拘束されることに慣れていなかったのでスパイナルドレナージは精神的に疲れましたが、結果的には万事満足です。局部麻酔注射もまぁ我慢の範囲内です。あとは再発しないように頑張ります。

 

ネット上に鼻性髄液漏の患者視点の記事が少なかったので、水溶性鼻水に苦しまれている皆様のお役に少しでも立てればと思っております。